リ・プロダクツ社長が語る 清掃会社がお掃除ロボットのレンタルサービスをはじめた理由
リ・プロダクツ株式会社 社長インタビュー
代表取締役社長 髙奥 要輔
まもなく創業50年。リ・プロダクツは、独自の清掃ITシステムで特許を取得するなど積極的に“清掃を科学”し、快適空間の提供に力を注いできました。そしていま、「清掃のDX」でお客様のコスト削減と業務効率化に貢献するべく、「おそうじレンタル」を展開しています。なぜこのサービスをはじめたのか、お客様にどのような価値をお届けしたいのか、トップからのメッセージをお伝えするため、髙奥要輔社長にインタビューを行いました。
単に清掃だけでなく「コンフォートソリューション」を提供する
―まず、会社の紹介をお願いします。
リ・プロダクツは、清掃に特化したサービスを展開している会社です。清掃というとわかりやすいのは、スタッフ――当社ではクリーンキャストと呼んでいます――による日常清掃や定期清掃などのサービスですが、それは当社の事業の一部にすぎません。
そもそも、当社のスタートは清掃に欠かせない資材・機材(清掃資機材)の販売でした。商業施設や学校、ホテルなどにワックスや洗剤からホウキ、チリトリなどをお届けしていたのです。お客様のさまざまなご要望に応えていく中で、清掃業務の請負やマットサービスと事業を拡大してきました。清掃資機材は、販売だけでなく製造も手がけています。特にモップは1990年代よりOEM製造をし、メイドインジャパンの高品質な製品を安定供給していると高い評価をいただいています。
―清掃をするだけでなく、清掃に関係するサービスを提供しているのですね。
そうです。もっといえば、「清掃」そのものではなく、清掃がもたらす「快適空間」を提供するのが当社の役割だと考えています。当社の会社ロゴに「コンフォートソリューション&テクノロジー」と記しているように、最先端のテクノロジーで快適を実現するソリューションを提供していくということです。
―テクノロジーといえば、アナログなイメージが強い清掃業界で、早くからIT化を進めてきたと聞きました。
これもお客様から寄せられた要望がきっかけでした。2000年代の初頭に、ある大手チェーンのお客様から「清掃の標準化」を進めたいとのご相談をいただいたのです。それまで、清掃はまさにアナログの世界で、当社も社員の「勘と経験」に依存して業務を進めている部分が、少なからずありました。
しかしこの方法では、現場の業務に精通した社員がいなければ、常時高い品質を保つことも難しくなってしまいます。こうした状況を打開するためには、ひとつひとつの業務を数値化して一元管理することが必要だと考え、それまで培ってきた清掃のノウハウも生かしてITシステムを開発し、2008年に特許を取得しました。それから、様々なお客様の声を活かし、現在の「維持クラウドシステム」を自社開発しました。清掃の維持管理計画から実績などをPCやモバイルデバイスで情報共有できます。
商業施設やオフィスビルは「清掃の選択肢」が少ない!?
―まさに、「清掃のDX」を推進するクラウド管理システムですが、お掃除ロボットも早くから活用してきたのでしょうか。
お掃除ロボットの活用は、率直に申し上げますと、必要に迫られて検討をはじめた部分もあります。人手不足の影響で、清掃業務に従事するクリーンキャストが確保できなくなってきたのです。今後、生産年齢人口は減少していきますので、業務効率化を図るために導入しました。
―家庭用のお掃除ロボットでは、オフィスによって向き不向きがあるとの声も多いですが…。
確かに、現在のお掃除ロボットは「自動で走る掃除機」というレベルです。ですから、スイッチを入れるだけで清掃を全て任せられると考えてしまうと、がっかりするかもしれません。
しかし、当社がいろいろと試したところ、使い方次第でオフィスや店舗といった一般家庭と比べて複雑な環境でも「かなり便利な道具」として使用できることがわかりました。そこで、清掃にお困りのお客様に役立てるのではと考え、「おそうじレンタル」をスタートすることにしたのです。
―「おそうじレンタル」を必要とするお客様は、どのように清掃についてお困りなのでしょうか?
商業施設のテナントやオフィスビルに入居しているお客様は、「その施設やビルの指定する清掃業者に頼む」「自分たちで清掃する」のいずれかを選ばざるを得ないのです。施設の管理者にしてみれば、セキュリティの観点からむやみに業者を立ち入らせるわけにもいきませんので無理もありませんが、コストコントロールが自由にできない業者に依頼するか、自らの負担を増やすかという選択肢しかないのは厳しいですよね。仕方なく業者に頼む回数を減らしている店舗や企業も少なくありません。
そうした“縛り”がないロードサイドの店舗や小規模なオフィスビル・ゴルフ場なども、毎日業者に依頼するとコストが嵩みますし、自分たちでは対応しきれないというお悩みがあります。毎日の清掃は、固定費となり会社の重荷になっている場合もあります。
テクノロジーは「ノウハウ」を添えないと力を発揮できない
―クレンリネスを追求したくても、コストや人的リソースの問題で難しいケースがあることがわかりました。でも、お掃除ロボットを購入すれば解決しそうにも思えます。「おそうじレンタル」を利用するメリットはどこにありますか?
最大のメリットは、清掃のプロフェッショナルである当社が、適切な使い方を含めトータルにサポートすることです。実は、「自社用にお掃除ロボットを購入したけれども結局使いこなせなかった」という話はよく聞きます。先ほども触れましたが、現時点の (※) お掃除ロボットは「自動で走る掃除機」に近い存在です。これらを「快適空間を生み出す便利な道具」として使いこなすには、コツを押さえておく必要があります。
※このインタビューは2021年5月に実施しました。
そこで「おそうじレンタル」では、空間の大きさや用途、季節や気候によって変わる条件を踏まえ、これまで培ってきたノウハウをお伝えするオンラインサポートを実施しています。たとえば、アプリを使って効率的にマッピングする方法などは、当社で独自に見つけ出したものもあり (※) 、お掃除ロボットメーカーの方も驚かれるほどです。
※日本電産株式会社様の事例をご参照ください。
また、初期費用ゼロで、メンテナンスの心配をすることなく“ガッツリと使い倒す”ことができるのもメリットのひとつです。「おそうじレンタル」では床用お掃除ロボットの場合、消耗品まですべて込みで月額3000円からご利用いただけます。通常のご使用上の故障は修理費もかかりません。もちろん、ご用意しているロボットや電動モップなどのオプションは、当社がオフィスや店舗、工場、倉庫といったさまざまなシーンで試したうえで、自信を持っておすすめできるもののみをラインナップしています。
―「清掃には人手が必要」という固定概念がありましたが、今後は「ロボット活用」が当たり前になりそうですね。
今後、さらに精度の高いロボットなど、快適なソリューションを実現できるようになります。そうすると、「決まった業者に頼む」「自分でやる」の2つしかなかった清掃の選択肢が大きく広がっていきます。「おそうじレンタル」は、お掃除ロボットを軸とした“新しい選択肢”を提案し続けたいと思っています。
―“新しい選択肢”は具体的にどのようなものを提示しようと考えていますか。
ロボットはいくら賢くても機械でしかありません。パソコンがそうであるように、便利に使えるかどうかはスキルとノウハウによって左右されます。だからこそ最先端のテクノロジーをどう活用したら快適空間を創造できるか、持てるスキルとノウハウを注ぎ込んでお客様に提供し続けたいと考えていますし、「おそうじレンタル」も単にハードを提供するだけでなく、手軽にクレンリネスを実現するソリューションと位置づけています。
清掃は人間にとって欠かせないものです。でも、決してつらく苦しい作業である必要はないと思うのです。私たちは“清掃の新しい選択肢”を提案する企業として、「お掃除ロボットを活用することで、本業により集中できる」「面倒な作業がなくなるだけでなく、安定した上質な清掃によって快適な空間が維持できる」といった体験をお客様とともに創出していくことを、今後とも使命としていきます。